オリパの炎上は、もはや週イチのイベントである。
500円くじに46,500円突っ込んで、当たりが1枚も出ない。700万円分の当選品が1ヶ月以上届かない。「最悪の場合8週間」と言っていた発送が、8週間を過ぎても届かない。借金8000万円を作った配信者は、税金を足して1億円に届いたと投稿している。120口を全部買ってもトップ賞が入っていない。公式Xが利用者に「正気で利用してるユーザーに関しては発送しております」と返す。2026年に入ってからオリパ速報が追いかけてきただけでも、これだけ起きている。
ただ、1本ずつ見ていると「またか」で終わってしまう。並べて初めて見えるものがある。
オリパ速報は今年発生したオリパ関連の炎上を時系列で全部並べ直した(2026年10月25日に10月分を追記)。結論から言うと、炎上の型は6つしかない。そしてそのどれもが、制度が追いついていないという1点に帰着する。
ポイントまとめ
- 2026年のオリパ炎上は6つの型に分類できる。確率/発送/当選後の締め付け/商品の状態/運営の透明性/依存と借金
- 1月から10月25日までにオリパ速報が追った炎上は39件。調査結果や申告、決済、声明といった周辺の動きを足すと一覧は45行になる。10月だけで炎上15件・周辺の動き3件。9月以降は、弁護士法人による消費者庁への申告と和解、広告の出稿停止、クレジットカードの利用制限と、業界の外から動きが出始めた
- 10月はみんなのトレカ1社で5件。発送遅延から始まり、公式Xの「正気で利用してるユーザー」返信、名誉毀損の警告文、深夜の「詐欺と断言したと言うことで」問い返し、垢BANの「不正利用の例」へと、運営の発信そのものが炎上の燃料になった
- 7月以降にサービス終了を発表したネットオリパは6つ(Dオリパ・ICHICA・皇帝オリパ・MEGAオリパ・エリカ・トレカライザス)。一方で最大手は1等の確率を小数点以下まで表示し始め、米国にも進出した。淘汰と寡占が同時に進んでいる
- オリパを直接規制する法律は、オリパ速報が確認した範囲では2026年10月時点でも存在しない。政府は2023年の国会答弁で「既存の景品表示法の運用で対応する」と明言しており、そこから3年、専用規制も確率表示の義務化もできていない
- ネット上に出回っている「オリパ業者に課徴金780万円・営業停止6ヶ月」という話は誤り。景表法に営業停止処分という制度は存在しない(営業停止は古物営業法24条にある別制度で、2つを混ぜた記述になっている)
- オリパ速報が8月27日に調べた範囲では、オリパを対象とした景表法の措置命令は、消費者庁の公表資料上で確認できていない
- それでも最大手は縮んでいない。決算公告で純利益23億円超、上場企業の新規参入もブロックチェーン進出も今年の出来事である。消えているのは小さい業者からだ
- オンラインオリパの利用率は67%、しかし半数以上が「信用していない」。この歪んだ数字が、業界の現在地をいちばん正確に表している
炎上の話に入る前に、前提を確認しておきたい。「なぜ毎年同じ形で燃えるのか」の答えがここにある。
2012年:コンプガチャは禁止された。オリパは対象外
ソーシャルゲームの「コンプガチャ」は、景品表示法の懸賞景品制限告示第5項(昭和52年公正取引委員会告示第3号)が禁じる「カード合わせ」に当たるとして、規制された。
消費者庁のQ&Aは、カード合わせがなぜ禁止なのかをこう説明している。「その方法自体に欺瞞性が強く」、消費者を「当選率に関して錯覚に陥らせる」から。そして「子ども向けの商品に用いられることが多く、子どもの射幸心をあおる度合いが著しく強く、苦情が多かった」という背景がある。
ここで重要なのは、オリパはこの「カード合わせ」に当たらないという点だ。オリパは組み合わせを揃えさせるのではなく、1回引けば1枚(以上)のカードが必ず出てくる。構造が違うので、コンプガチャ規制はオリパに届かない。
2023年4月4日:国会で議論された。そして「既存の法律で対応する」で終わった
オリパが国会で正面から取り上げられた記録は、オリパ速報が確認した限り1回だけである。第211回国会 衆議院 消費者問題に関する特別委員会 第4号(2023年4月4日)。
質問に立った議員が指摘したのは、まさに今も燃え続けている論点だった。排出率を明記していても「全部買い占めない限り検証できない」こと。そして当たり入りのパックをユーチューバーに渡す手法があること。
これに対する消費者庁審議官の答弁は、「百口に一口はレアカードが含まれているかのように表示していながら、実際にはレアカードが全く含まれていない」ようなケースは景表法違反のおそれがあり、具体的事案には厳正に対処するというもの。デジタル副大臣は「消費生活相談の状況を始め、動向をしっかりと注視してまいりたい」と述べた。
要するに、オリパ専用の規制は作らない、既存の景表法で見るという整理である。
それから3年半が経った。専用規制も、確率表示の義務化も、まだない。
2026年:ようやく業界側が動き出した
今年に入って、自民党のトレカ議連が発足し、日本トレーディングカード協会が設立された。規制の波が来る前提が、ようやく整い始めている。
ただしその協会が最初にやったことは、参加企業を非公開にしたままオリパに「肯定も否定もしない」と中立を宣言することだった。理事にオリパ運営会社在籍者がいる状態での中立宣言である。ここも今年の炎上の1つとしてカウントせざるを得ない。
その後も協会は燃え続けた。8月に代表理事が交代し、10月には規程のカードサイズ定義を紹介した投稿が約189万回表示されて批判を集めた。業界の古参である大河内卓哉氏(ドクター・オー)は「自分が会長を引き継ぐなら解散します」と語っている。なぜ「怪しい」と言われ続けるのかは、別の記事で時系列にまとめた。
2026年9月:業界の外から動きが出始めた
9月に入ると、動いたのは業界団体ではなく外側だった。
9月8日、弁護士法人・響が消費者庁へ特商法違反の申告をしたとしてオリパ7社を実名で挙げた。9月26日には同じ響が、メルカリAdsでオリパ広告が数日前から出稿できなくなっているとの情報を得たと投稿している。メルカリAdsの規定には、掲載できない商材として「ギャンブル(公営競技・公営くじを除く)」が書かれている。
どちらも行政処分ではない。申告は調査を求める手続きで、メルカリは出稿停止の理由を公表しておらず、オリパ速報も停止そのものを確認できていない。また響は返金相談を受ける側の当事者でもある。
それでも、法律より先に、広告の出口と申告の入口から締まり始めているというのが9月の変化である。
2026年10月:決済と返金から締まり始めた
10月15日、オンラインオリパでクレジットカードが使えなくなった利用者が、カード会社に「ギャンブルに相当するサイトの利用」として制限していると言われた、と投稿した。19万回表示されたが、これは窓口の担当者の説明を本人が書いたもので、カード会社の公式発表はない。ただ同じ週にはオリくじでPayPay決済が止まって再開し、クローブで「メルペイが消えた」「復活した」という投稿も出ている。止まった理由も戻った理由も、オリパ速報が確認できた範囲ではどの運営も説明していない。
10月23日には動きが2つ重なった。昼にトレカ協会が、一部のオンラインオリパ業者による消費者トラブルを「重大な課題」とし、「不正な業者を排除するべく必要な取り組みを進める」と声明を出した。7月に「肯定も否定もしない」と言っていた協会である。何をもって不正とするか、いつまでに何をするかは書かれていない。夜には弁護士法人・響がこの声明を引用する形で、「一部の事業者との間で和解が成立し、返金が始まっています」「チャージバックによる返金ではありません」と投稿した。和解した業者名、件数、金額は書かれていない。依頼者の進捗報告を10月18日時点で追った限りでは返金完了の報告はまだ無かったので、投稿どおりなら10月後半が最初の返金になる。
返金は商売にもなり始めた。司法書士事務所が「オリパ返金診断」に参入し、着手金0円・報酬は回収額の30%、被害額3万円から受けると広告している。申告、和解、返金診断と、オリパの「出口側」に専門家が並び始めたのが10月である。
法律はまだ動いていない。動いたのは決済の現場と弁護士と司法書士、そして「排除する」と言った業界団体だ。
オリパ速報が追った範囲で、発生順に並べる。
1月から10月25日までで炎上39件。型の欄が「ー」の行は周辺の動きで、それを足すと45行になる。10月は25日間で炎上15件、1.7日に1件のペースである。
いちばん多い型がこれだ。そしていちばん検証しにくい型でもある。
KARAKURIの70万円も、確率的には起こりうる範囲の話ではある。2022年10月に話題になったCloveオリパの43万円も同じ型だ。極端な外れを引いたこと自体は、それだけでは表示の問題にならない。2023年の国会答弁で議員が指摘したとおり、「全部買い占めない限り検証できない」からだ。
ただし、三洋堂書店の500円くじは性質が違う。46,500円分引いて当たり0枚、そして店側が「購入時点で当たりが残っていなかった」と認めている。これは確率の問題ではなく、そもそも当たりが存在しない状態で売られていたという話になる。
2023年の答弁が名指しした「レアカードが含まれているかのように表示していながら、実際には全く含まれていない」ケースに、構造としてはいちばん近い。
TCG ROYALの9万円福袋も、封入カードが明記されていたぶん計算が合うかどうかを外から検算できてしまったタイプである。皮肉なことに、中身を開示するほど炎上リスクは上がる。
9月は、還元率の計算の前提が燃えた。ポケカ30周年の発売前日に始まったBOXガチャは、「総還元率95〜100%」を掲げていた。オリパ速報が逆算すると、業者は1BOXを約3.1万コインと置いて計算していた。定価は7,200円、前日の取引相場は17,700円である。発売日の相場で計算し直すと約50〜58%になる。還元率の数字そのものより、BOXをいくらと置くかで結果が決まる。
エクストレカの「夢箱無双」では、バナーが当たりの最低帯を25,800pt〜と載せていたところに、23,800ptと表示されたBOXの画面がXに投稿された。景品一覧にそのBOXが入っていることは確認できたが、23,800ptという数字は公開情報に無い。表示どうしの関係を外から確かめきれないという点で、これも型①の延長にある。
10月は、買い占めても当たりが無かったケースがまた出た。竜星のPAO立川店の遊戯王オリパを120口全部買った人が、トップ賞だけ入っていなかったと配信者のG2F団にDMで告発した。店側は「トップを渡す」と対応し、告発者が食い下がって返金になったという。三洋堂と同じく「全部買い占めない限り検証できない」の壁を、全部買って越えた形だ。ただし告発は配信者経由で、店の公式発表はない。
サトシゲの5万円福袋は、届いたのがカード2枚と額面20万円の「サトシゲ商品券」だった。券面はサトシゲが販売するワンピースカード関連商品に用途を限っており、購入者は使えないと訴えた。投稿は293万回表示された。還元率を自社の商品券で埋めると、その券が使えるかどうかが還元率になる。
逆方向の動きもある。日本トレカセンターは10月、オリパごとに販売開始時点の提供割合を小数点以下まで表示し始めた。1回59コイン・総口数145万口のオリパで、1等は27個、提供割合0.0019%。約5万4千回に1回である。2023年に国会で求められた確率表示に、最大手が自分から踏み込んだ。出た数字が「悲報」として拡散したのは、業界全体が表示してこなかった3年間のほうが異常だったということでもある。
MEGAオリパとkicksphereで合計700万円分。1ヶ月以上発送されず、連絡しても明確な返信が得られないという告発が拡散した。
この型がやっかいなのは、規約上の発送期間が業者ごとにまるで違う点にある。オリパ速報が主要5社の特商法ページを読み比べたところ、日本トレカセンターは出庫依頼から24時間以内、DOPA!は1〜3営業日、クローブは10〜15営業日と、同じ「発送が遅い」でも意味がまったく違う。
規約を読んでいないと、正常な遅延なのか異常事態なのか判断がつかない。これが「届かない=詐欺」という短絡を生み、逆に本当に危ない兆候を見逃す原因にもなっている。
10月には、この型の新しいパターンが出た。みんなのトレカは8月11日に、発送体制が2名で最大約8週間かかる場合があると公表し、8週間は「”最悪の場合”を想定した最大バッファ」だと説明していた。8週間を過ぎた10月はじめ、Xには「まだ届かない」という利用者本人の投稿が出た。10月5日の代表名義の投稿では、中心メンバーの離脱と、9月下旬に発送が止まった日があったことが公表されている。運営の発送報告では、10月3日時点の未発送(本人確認済み)は168件・340点だった。
規約の日数より長い期限を自分で示し、その期限も越えた。規約を読めば判断できる、という前提が崩れたケースである。
その後、運営は毎晩の「発送報告」を続け、10月22日には累計3,683件・10,250点まで進んだ。ただし発送が進むのと並行して、炎上の中心はアカウント削除と公式Xの返信に移った。型③と型⑤で続ける。
9月のIranoanは、利用者の未発送ではなく取引先の話だ。オンラインガチャ「Gacha24」などを展開し、2023年に累計4.2億円の調達を発表していた会社について、コラボ相手が「制作費が振り込まれないまま連絡が取れない」と投稿した。知恵袋には「獲得した商品が届いていない」という質問も立っている。どちらも本人の申告で、破産手続開始などの公的記録は確認できていない。
オリパワンが高額当選者に家族全員分の本人確認書類を要求し、提出後に利用制限をかけた件がこの型の典型である。
似た構造として、DOPA!のダイヤモンドランクに月10万円の課金が必要という設計もここに入る。直接の炎上ではないが、「有利な条件は課金額で買う」という構造が可視化されると、途端に空気が悪くなる。
オリパ速報が各社の規約を読んで気づいたのは、当選後の権利に期限が設けられていることだ。オリパワンは3日で自動コイン化、DOPA!は3日で自動発送、クローブは30日を過ぎると権利放棄とみなす、オリくじは1,000コイン未満だと配送に300円。引く前ではなく、当たった後にコストと期限が発生する。ここを知らずに放置して損をする人がかなりいる。
10月にはみんなのトレカで、発送を待つ間にアカウントが削除されたという声が相次いだ。運営は「利用規約に基づき個別に判断」と答えるだけだったが、10月22日に「1枚のクレジットカードが8つのアカウントで使われていた例」「短時間に7アカウントを作って初回特典を繰り返し取得した例」という「不正利用の例」の画像が出回った。例に当てはまる行為が削除されるのは当然だろう。問題は、削除された人のうち何人が例に当てはまるのかが、どこにも書かれていないことだ。「身に覚えがない」と書く人への説明は、10月23日時点でまだ出ていない。
福福トレカの当選BOXが再シュリンク品ではないかと指摘された件、カードショップIRODORIのBASEオリパで当選した『シブヤのピカチュウ』の状態が酷かった件。
中身が見えない商材である以上、届いてからしか検品できない。そして返品の申し出期限は各社短く設定されている(クローブは到着後3日以内)。開封して撮影する習慣がないと、そもそも争えない。
10月はDOPA!で当てたSwitchが話題になった。起動したらユーザー名が最初から「こうへい」で、マリオのアイコンまで設定済みだったという。返信には「オリパのゲーム機はどこも新中古」という声と、「景品ページに中古の表記は無い」という指摘が並んだ。新品か中古かが表示上はっきりしない景品は、カードに限らず同じ争点を生む。
今年いちばん象徴的だったのが、8月の日本トレカセンターの「排出履歴」不具合である。
透明性を上げるために追加した排出履歴の画面で、口数の表示がズレる不具合が起きた。原因は購入記録データの保存処理が一部失敗していたこと。同社は抽選結果・当選カード・発送への影響はないとしたうえで、全ユーザーへのお詫びオリパと、第三者機関への抽選方式の検証依頼を発表している。
開示しようとした結果、開示したものが信用されなくなる。オリパというビジネスの難しさがここに凝縮されている。
9月8日には、弁護士法人・響が「消費者庁へ特商法違反の申告をしました」としてオリパ7社を実名で挙げた。投稿は634万回表示まで伸びている。ただし申告は行政に調査を求める手続きで、それ自体は処分ではない。名前の挙がった1社であるエクストレカの特商法表記を読むと、法定の表示項目は揃っていた。
10月の型⑤は、みんなのトレカ1社に集中した。流れを並べる。
- 10月19日、発送報告への「当たった賞品を発送するのは当たり前じゃ?」という返信に、公式Xが「正気で利用してるユーザーに関しては発送しております」と返した。「正規」の誤字なのかは説明されず、削除も訂正もされていない
- 10月21日、「誹謗中傷・名誉毀損行為に関する警告」を投稿。過去の投稿は刑事告訴済み、示談は断った、削除や謝罪があっても取り下げない、という内容。36万8,000回表示されたが、いいねは28件。表示できた返信23件のうち16件は、発送と垢BANの話に戻すか、警告文の出し方への批判だった
- 同じ21日の夜、PHPの脆弱性対応でサイトを約18時間停止した
- 10月22日の深夜1時台、利用者1人の返信2件に「当社のサービスを詐欺と断言したと言うことでよろしいでしょうか」とほぼ同じ文面で2度問い返した。返信20件のうち、運営を応援する文面は1件だった
発送の遅れそのものは、運営が毎晩の発送報告で数字を出し、10月22日には累計1万点を超えている。それでも燃え続けたのは、公式Xの一言一言が新しい燃料になったからだ。発送遅延(型②)、アカウント削除(型③)、公式の発信(型⑤)と、1社で3つの型をまたいだ。
みんなのトレカ以外でも、運営の発信が火種になった。ハイトレは10月16日のコラボ配信で勇者トロのアカウントをBANし、翌日「ドッキリ企画だった」と謝罪した。当日のアドリブで、ネタバラシの着地ができなかったという。「通常のお客様のアカウントを意図なくBANすることは一切ない」と説明しているが、BANが演出に使える権限だと受け取られても仕方がない。
XのDMでオリパを売るトレカハウスは、キャンセルを申し出た客に「それは難しいです💦」と返し、古物商許可証の番号を聞かれると「ご入金確認取れましたら」送ると答えたとされるスクショが17万回表示された。スクショが本物かどうか、取引の経緯はオリパ速報では確認できていない。それでも、許可番号を入金の後に出すという順番に返信欄の疑問が集まった。
オリパ塾は公式Xを乗っ取られ、海外の暗号資産アカウントに化けた。運営はDMで発送先を送った人に削除を呼びかけている。当選者の住所がDMに溜まるという、オリパ特有の弱点が露出した形だ。
そして撤退である。7月以降にサービス終了を発表したネットオリパは、撤退ドミノとして並べた5つ(Dオリパ・ICHICA・皇帝オリパ・エリカのオンラインガチャ・トレカライザス)にMEGAオリパを足して6つになった。エリカは開業から約1ヶ月半、終了発表の前日に初のチャージガチャを告知していて、残ポイントは返金しない。ライザスは全額返金だが、終了日が公式Xの画像と案内画像で食い違っていた。MEGAオリパは7月に500万円分の未発送を告発された会社である。オリパ速報が確認できた範囲では、終了の理由を具体的に説明した運営は見当たらない。
他方で、模倣サイトの出現やDMMのDオリパが5ヶ月で撤退、そしてトレカ協会の中立宣言も、業界の足元が固まっていないことを示している。
そして、いちばん重い型。
勇者トロの借金5000万円は、7月には8000万円になり、さらに税金1300万円が乗った。「オリパは経費にならない」という現実は、稼いだ側にも突き刺さる。8月には本人の投稿で借金が1億円(税込)になり、「オリパ引退します」系の投稿は今年だけで10回を数えた。引退宣言から配信に戻るまでは平均およそ8日である(いずれも本人の自己申告にもとづく)。
34歳の借金900万円、1回65万円のガチャに課金して「完全に病気」と自虐する投稿、そして誕生日に9000円もらった小学5年生が全額溶かした話。
10月にはハイトレで1回100万コインを25回回して「900万負けました」と引退を宣言した投稿が出た。添付の集計画面では、100万コインの段だけ還元率64.8%で、それより下の段は96〜122%だった。金額は本人の申告である。1回100万円の段が用意されていること自体が、この型の土台になっている。
この型だけは、業者の規約を読んでも防げない。そしてこの型だけが、利用率67%・半数以上が信用していないという数字の「信用していないのに使っている」部分を説明してしまう。
ここは強めに書いておきたい。
「オリパ 違法」「オリパ 摘発」で検索すると、「オリパ業者に課徴金780万円・営業停止6ヶ月の処分が下った」という記述が複数のサイトに出てくる。
これは誤りである。
理由は単純で、景品表示法に「営業停止処分」という制度が存在しない。景表法の行政処分は措置命令と課徴金納付命令の2つだけである。
では「営業停止6ヶ月」はどこから来たのか。おそらく古物営業法との混同だろう。同法24条1項は、古物商が法令違反をした場合に公安委員会が「六月を超えない範囲内で期間を定めて、その古物営業の全部若しくは一部の停止を命ずる」ことができると定めている。6ヶ月という数字はこちらの制度のものである。
つまりあの記述は、景表法の課徴金と古物営業法の営業停止を、別の法律だと気づかないまま合成している。制度を1つも確認せずに書かれた文章だということになる。
そして、オリパ速報が消費者庁の公表資料を調べた範囲では、オリパを対象とした景表法の措置命令は確認できていない。「まだ出ていない」のか「探し方が足りない」のかは断定できないので、あくまで調査範囲では確認できなかったという書き方にとどめる。
いずれにせよ、存在しない処分事例を根拠に業者を語っている記事が一定数あるということは知っておいたほうがいい。オリパの検索結果は、業者側のアフィリエイト記事と、こういう出典不明の記述で埋まっている。
ここが今年いちばんの発見かもしれない。
39件も炎上しておきながら、業界最大手は決算公告で純利益23億円超を計上している。東証上場のMUSCAT GROUPが子会社を通じて新規参入し、秋葉原の破産跡地にはコラボオリパが開店、さらに米Jupiterがブロックチェーン上でオリパを開封できるサービスをβ公開している。10月には米Coinbaseがポケカのパック開封機能を予告し、日本トレカセンターは米国進出を発表した。
炎上はブレーキになっていない。
ただし10月に入って、絵は少し変わった。7月以降にサービスを終えたネットオリパは6つ。クレカとPayPayが止まったり戻ったりし、和解と返金が始まった。縮んでいないのは最大手で、小さい業者から消え始めている。炎上がブレーキにならなかった市場に、決済と返金のブレーキがかかり始めた、というのが10月25日時点の見立てだ。
利用率67%、半数以上が信用していない。この2つの数字が同時に成立していることが、すべてを説明している。信用と利用が切り離されている市場なのだ。
- 規約の発送日数を先に見る。 24時間以内の業者と15営業日の業者が同じ市場にいる。知らないと正常な遅延で消耗する
- 運営が規約より長い目安を出したら、そこが分かれ目。 規約の日数を自分で上書きした時点で、規約は判断材料にならなくなる
- 還元率は「景品をいくらと置いたか」を見る。 未発売BOXや高騰中のカードは、置き方ひとつで還元率がいくらでも上がる
- 当選後の期限とコストを確認する。 引く前ではなく当たった後に発生する。3日/30日/300円/500ptと業者ごとにバラバラ
- 開封は撮影する。 状態・真贋の争いは、記録がないと成立しない
- 中身を明記している業者ほど検算できる。 検算して合わない場合は、そこが交渉の材料になる
- 「摘発された」「営業停止」系の記述は出典を疑う。 制度上ありえない処分が平気で書かれている
- 確率の極端な外れは、詐欺の証明にはならない。 ただし自分がそこに入る確率も同じだけある
- 公式Xの返信欄も判断材料にする。 利用者への返信が問い返しや警告に変わったら、発送報告の数字だけで安心しない
- DMで売るオリパは、古物商の許可番号を先に聞く。 入金後にしか出さない相手には、出すまで払わないほうがいい
- 決済が止まったら、止まった事実と時刻を記録する。 運営も決済側も理由を言わない。両方に問い合わせたうえで、戻る前提で待たない
- 借金と依存だけは規約では防げない。 上限を金額で決めておくしかない
各社の規約を実際に読み込んだ検証記事はこちら。炎上の型②③④は、規約を読んでいれば事前に避けられるものが多い。
- オリパワンは詐欺で違法?「やばい」「怪しい」の声を特商法から全部検証した
- 日本トレカセンターは怪しい?違法? 炎上と「やばい」噂を特商法から検証した
- DOPAオリパは怪しい?違法?「やばい」と言われる理由を特商法から検証した
- オリくじは詐欺で怪しい? 違法性と「やばい」噂を特商法から検証した
- Cloveオリパはやばい?「闇」と炎上の真相を特商法から検証した
- ポケカチの相場は信用できる? 価格の出所を運営会社から検証した
ソース
- 第211回国会 衆議院 消費者問題に関する特別委員会 第4号(2023年4月4日)会議録
- 中古品ECや金融系商材は出稿できる?メルカリAdsの掲載可否&成果が出やすいジャンル(Mercari Ads・2026年7月21日)
- 消費者庁「インターネット上の取引と『カード合わせ』に関するQ&A」
- 消費者庁「景品規制の概要」
- 古物営業法(e-Gov法令検索)
- 各事件の詳細は本文中のオリパ速報既報を参照
※本記事は2026年8月27日時点でオリパ速報が確認した公開情報にもとづくまとめで、2026年10月9日に9〜10月の事案を追記しました。同日、2022年10月の出来事だったCloveオリパの43万円の件を2026年の一覧から外しました(件数は26件から25件に訂正)。2026年10月25日に、10月の17行と9月のMEGAオリパのサービス終了を追記しました。あわせて数え方を整理し、型の付いた行を「炎上」、型が「ー」の行を「周辺の動き」として分けて数えています。前回まで「25件」としていた一覧は、この数え方では炎上24件・周辺の動き3件の27行でした。今回は炎上39件・周辺の動き6件の45行です。追記分の詳細と出典は、各既報の記事を参照してください。個別の事案について、オリパ速報は特定の事業者による違法行為を断定するものではありません。行政処分の有無についても、確認できた範囲を明示するにとどめています。






