ゲーム業界メディアのGameBusiness.jpが10月21日、NPO法人カードゲーム文化振興協会の代表・大河内卓哉氏へのインタビューを掲載した。テーマは7月に発足した「日本トレーディングカード協会」(トレカ協会)と、オンラインオリパの問題点だ。
大河内氏はブシロードのカードゲーム事業の立ち上げに参加し、「カードファイト!! ヴァンガード」の宣伝や番組で「ドクター・オー」として知られる人物。トレカ協会について「急いだな」と評し、自分が会長を引き継ぐなら「解散します」と答えている。
この記事は、GameBusiness.jpのインタビュー記事(2026年10月21日掲載)の要約である。発言はすべて大河内氏個人の見方で、オリパ速報は大河内氏とトレカ協会のどちらにも取材していない。トレカ協会がこのインタビューに見解を出しているかは、同日時点で確認できなかった。
ポイントまとめ
- 大河内氏の協会は12年前から活動するNPO法人。自治体や放送局からの相談に応じ、子ども向けの講習会などを開いている
- トレカ協会との違いは「小売業者の利益集団ではない」こと。メーカーの意図を尊重する立場だと説明
- トレカ協会への批判は、メーカーや老舗の小売店の同意を得ないまま、一部の事業者主導で立ち上がったことが原因とみる
- 発足が急だった理由について「誰かが『警察が動く』のを察したのだと思います」と発言。本人も「あくまで想像の話」と断っている
- 会長を引き継いだら「別に要らないので解散します」。業界のルール作りは日本玩具協会など既存の枠組みで、メーカー主導でやるべきという考え
- 本当に問題なのは転売よりオンラインオリパ。中身の実在も当選確率も、第三者が確かめる仕組みがないと指摘
- 実店舗のオリパとオンラインオリパは「全く性質が異なる」。オンラインオリパのせいで実店舗のオリパまで怪しく見られるようになったと語る
大河内氏によると、同協会はカードゲームの健全な遊び方と、文化としての維持・継承を目的にしたNPO法人。営利企業から独立した立場で活動している。
主な活動は、市町村やNPOから依頼を受けて開く「健全な遊び方」の講習会や、公民館での初心者講習の手伝い。8月15日には、NPO法人秋葉原観光推進協会の相談をきっかけに、神田明神でのイベント「AKIBAサブカルサミット@神田明神2026」に参加した。放送局から、カードゲーム特集の取材先や表現について相談を受けることもあるという。
同協会は「社会通念上、健全とは認識しがたい活動や商売」をする組織とは連携しないとしている。その例として大河内氏が挙げたのが、過度に射幸性をあおるオンラインオリパだ。
大河内氏は、トレカの二次流通が急に大きくなるなかで、法的・社会的な責任を問われる場面に備える団体ができること自体は予想していたという。ただ、想定していたのはゲームソフトの年齢区分を決めるCEROのような組織だった。
実際にできたトレカ協会は、議員と連携するための組織に見えたと話す。メーカーとの対話も見られず、自社や加盟店の商業的な利益を守る動きに見えたのが残念だったと述べた。
なぜ急いだのかという問いには、こう答えている。
言葉を選ばずに申し上げますと、誰かが「警察が動く」のを察したのだと思います。
さらに、協会に関わる人物の中に「損をする人がいた」可能性や、7月23日のトレカ議連との設立総会に合わせて準備していた可能性にも触れた。いずれも大河内氏は想像の話だと断っており、根拠となる事実は示されていない。オリパ速報も、警察の動きやトレカ協会の内部事情は確認していない。
もし自分がトレカ協会の会長を引き継ぐなら、という質問への答えは「別に要らないので解散します」だった。
理由は、トレカ業界がおよそ30年、小売店の全国組織がなくても市場を育ててきたから。業界のルール作りをするなら、日本玩具協会など既存の枠組みを通じ、メーカー主導で合意を作るのが筋だという。
立て直すなら、「誰のための何なのか」を責任者が自分の言葉で示すべきだとも話している。トレカ協会が掲げる「文化を未来へつなぐ」などの目的は抽象的だ、という聞き手の指摘を受けての発言だ。
一方で、トレカが世界的な「第二通貨」のように扱われる時代が来れば、国際基準の法整備が必要になり、業界団体の役割も変わりうるとした。トレカ協会が「裏側で動くより表舞台に出る」ことを選んだ点は評価している。
転売については、本当に欲しい人に届かないのが問題としつつ、メーカーや小売店による購入制限や本人確認の強化を前向きに見ている。
より強く問題視したのはオンラインオリパだ。大河内氏の説明を整理すると、次のとおり。
| 公式パック | 店のオリパ | オンラインオリパ | |
|---|---|---|---|
| 作る人 | メーカー | 店・個人 | 販売サイト |
| 封入率 | メーカーが管理 | 販売者次第 | 販売者次第 |
| 中身の実在 | 現物 | 現物 | 確かめる手段なし |
| 確率の検証 | メーカーが管理 | 保証なし | 保証なし |
大河内氏は、オンラインオリパは「ポイントと交換して商品を渡す」という口約束に近く、現物がなくても成り立ってしまうと指摘する。モデルとしては「100円入れて80円返ってくる」の繰り返しで、カードである必要がないという。在庫を誠実に管理している事業者もいるかもしれないが、全てではないとも述べた。
問題視される理由は、実物のパック開封に似せている点にあるという。「パック開封とオンライン開封は何が違うのか」と聞かれる時点で「やられている」と感じる、と語っている。
聞き手が「オンラインオリパのせいで、実店舗のオリパまで怪しく見られるようになったのか」と尋ねると、大河内氏は同意した。
カードショップの店員が、夜遅くなると子どもに声をかけて帰らせるなど、業界は30年かけてトレカのイメージを上げてきた。オンラインオリパで業界の問題が蒸し返されるのは悔しい、とインタビューを締めくくっている。
トレカ協会については、発足時の動き、オンラインオリパに「中立」とした方針、カードサイズ定義への批判も別記事で取り上げている。