秋葉原でトレカを売り買いしていると、この1年で急に名前を見るようになった店がある。シンソクである。2026年に入ってから秋葉原に立て続けに出店し、いまや都内8店舗。宅配買取のLPには「最短1時間入金」「減額なし」と、かなり強気な文言が並ぶ。
当然「シンソク 評判」「シンソク 買取 評判」で調べる人が増えている。ただ、出てくる記事の多くは店舗の場所と営業時間を並べただけで、肝心の「売ったあとに引き返せるのか」には触れていない。
編集部は運営会社の公式情報、2つの公式サイトの特定商取引法表示、宅配買取のFAQ、そして警察が公表している古物商のデータベースまで当たった。結論、運営実体はかなりはっきりしている。ただし「減額なし」という売り文句は、「減額がなければキャンセルできない」という条項と必ずセットで読む必要がある。
ポイントまとめ
- 運営は株式会社KXオンライン(設立2022年5月20日/本社 東京都江東区木場/従業員194名・2026年8月時点)。オリパ専業ではなく実店舗のカードショップが本体
- 公式サイトは3つに分かれている。会社サイト(kxonline.co.jp)、通販(cardshop-shinsoku.jp)、買取・卸(shinsoku-tcg.com)。特商法の表記も通販用と卸用で別々なので、読むべきページを間違えると条件が食い違う
- 古物商許可番号 第901132210051号は、福岡県公安委員会のURL届出古物商一覧に法人名つきで掲載されている。許可の実在は公的DBで裏が取れた
- ただし公式サイト側の表示は許可番号だけで、古物営業法が求める「許可をした公安委員会の名称」の記載を、今回の調査範囲では確認できなかった
- 宅配買取の最大の落とし穴は「査定額がカート追加時から減額されていない場合は、原則キャンセルできない」。減額なしを売りにしているサービスで減額がないなら、そのまま売却が確定する
- 送料無料は10万円以上の申込のみ。キャンセル時の返送料は自己負担
- 通販側はさらに固い。支払いは銀行振込のみ、30万円以上は注文後8時間以内、契約成立は発送確定メールの時点、未開封BOXは開封動画がないと返品を受けられない場合がある
- オンラインオリパは運営していない(今回確認した範囲では公式サイトにオリパ商品の取り扱いなし)。むしろ「オンラインオリパの当選カードも買い取る」と買取LPに明記しており、オリパ利用者にとっては出口側の店
会社サイトの会社概要にはこう書かれている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | 株式会社KXオンライン |
| 代表取締役 | 宇田 翔馬 |
| 所在地 | 〒135-0042 東京都江東区木場2丁目17-16 BESIDE KIBA 4F |
| 設立 | 2022年5月20日 |
| 事業内容 | 店舗運営、卸売、通信販売 |
| 従業員数 | 194名(2026年8月時点) |
| 顧問弁護士 | 弁護士法人リット法律事務所/弁護士法人フォーカスクライド |
自社公表の数字として、月間買取額30億円超、直営8店舗、2026年内に15店舗まで拡大予定と出ている。成長についても「月間買取額は約0.4億円から30億円超へ」「2年で約80倍」と書いてある。いずれも第三者が検証した数字ではなく自社公表値なので、そのつもりで読む必要はある。
設立2022年5月というのは、オリパ業者や新興トレカショップの中では新しい部類だ。ただし顧問弁護士を2法人つけて明記している点は、この業界ではむしろ珍しい。会社概要のページに弁護士名まで出す事業者はそう多くない。
通販サイトの特定商取引法表示には、販売主「株式会社KXオンライン」/販売責任者「宇田翔馬」/電話番号 03-6826-0999、そして8店舗すべての住所が並んでいる。所在地欄が実店舗の一覧になっているタイプだ。
バーチャルオフィスでも私書箱でもなく、行けば人がいる住所が8つ載っている。 これはオリパ業者の特商法を毎回読んでいる身からすると、それだけで警戒度がかなり下がる材料である。
シンソクの2つの公式サイトには、どちらにもこう書かれている。
資格・免許 古物商許可証 第901132210051号
トレカの買取は古物商許可がなければ1日もできない商売なので、ここは必ず確認する。そして、この番号には引っかかる点が1つある。
東京都公安委員会が出している許可番号は、すべて「301」で始まる。編集部が東京都公安委員会の「古物商URL届出一覧」PDF(掲載分すべて)を機械的に照合したところ、収録されている番号は例外なく301始まりで、901で始まる番号も、KXオンラインの社名も見当たらなかった。
そこで、番号の先頭2桁「90」が示す福岡県公安委員会の「URL届出古物商一覧」を当たった。か行のPDFに、そのまま載っていた。
| 項目 | 福岡県警の公表内容 |
|---|---|
| 許可番号 | 901132210051 |
| 名称 | 株式会社KXオンライン |
| 届出URL | https://www.amazon.co.jp/sp?...seller=A2LOVJH1P9DCXT(Amazon出品者ページ) |
| 届出年月日 | 令和4年12月14日 |
許可は実在する。公的な一次情報で裏が取れた。
ここで「東京の店なのに福岡の許可なのは怪しいのでは」と思う人がいるはずなので、先に潰しておく。まったくおかしくない。 2018年改正の古物営業法(2020年4月1日施行)で、複数の都道府県に営業所があっても、許可は「主たる営業所」を管轄する1つの公安委員会から受ければよい方式に変わった。改正前は都道府県ごとに許可が必要だったが、いまは全国どこに店を出しても許可は1つである。福岡の番号で東京に8店舗を構えることは、法律上まったく問題がない。
一方で、指摘しておくべき点も1つある。古物営業法第12条第2項は、ホームページで古物取引を行う事業者に対し、「氏名又は名称」「許可をした公安委員会の名称」「許可証の番号」の3点を表示するよう求めている(2024年4月1日施行の改正で、従業員5人以下または自社サイトを持たない事業者を除き、原則すべての古物商が対象になった)。従業員194名で自社ECを持つKXオンラインは、当然この対象に入る。
シンソクの2サイトに載っているのは「名称」と「許可証の番号」で、「許可をした公安委員会の名称」の記載を、今回の調査範囲では確認できなかった。 福岡県警の一覧で番号は確認できているので、許可そのものを疑う話ではまったくない。表記が1項目分だけ足りていないように見える、という指摘である。
ちなみに東京都公安委員会は、掲載条件として「トップページに許可証どおりの名称の記載があること」「許可番号または許可公安委員会名の表示が誤っていないこと」を挙げ、あわせて「掲載されていないからといって、直ちにその業者が無許可又は無届けというわけではない」とも明記している。一覧に無い=黒、ではない。 ここは誤読されやすいので強調しておく。
なお福岡県警の一覧に載っている届出URLはAmazonの出品者ページ1件で、自社通販の cardshop-shinsoku.jp や shinsoku-tcg.com のURLは、今回確認したPDFの中には見当たらなかった。届出は随時受け付けられ公表までに時間がかかるものなので、これも現時点の掲載状況の話であって、それ以上のことは言えない。
ここからが本題である。シンソクの宅配買取は「減額なし」「最短1時間入金」「書類不要」を前面に出している。この3つは事実として書かれている。問題は、その裏に置かれている条件のほうだ。
落とし穴1:減額がなければ、キャンセルできない
買取LPのFAQに、そのまま書いてある。
査定結果に納得いただけない場合は、キャンセル可能です。返送料はお客様負担となります。 ただし査定結果がカート追加時の金額から減額がない場合は、原則キャンセルできません。
読み替えるとこうなる。「減額されたときだけキャンセルできる」。そしてシンソクは減額をしないことを売りにしている。つまり、宣伝どおりに減額なしで査定が通れば、その瞬間に売却が確定する。
これは詐欺でもなんでもなく、買取サービスとしてはむしろ筋の通った設計である。カートに価格を出して同意させている以上、価格が変わっていないなら売買契約は成立している、という話だ。ただし利用者側から見れば、「カートに入れて発送した時点で、実質もう売っている」ということになる。
トレカは大会結果や再録、海外相場で数日で値が飛ぶ。発送してから相場が跳ねても、減額されていない限り引き返せない。 「とりあえず送ってみて、査定額を見てから決めよう」という使い方はできないサービスだと理解しておく必要がある。
落とし穴2:送料無料は10万円以上、キャンセルの返送料は自己負担
同じくFAQより。
10万円以上のお申込で送料無料キャンペーンを実施中です。それ以外の場合、発送時の送料はお客様負担となります。
10万円未満なら送料は自分持ちである。そして落とし穴1と組み合わせると、少額の売却でキャンセルしたときが一番きつい。行きの送料を払い、減額されたからキャンセルし、返送料も払うという形になり得る。査定料と振込手数料は無料と明記されているので、コストがかかるのは送料の往復だけだが、数千円の売却では往復送料が利益をまるごと持っていく。
「まとめて送って、高いものだけ売る」という立ち回りができない設計になっている。送るなら10万円分をまとめて一度に、が正解である。
落とし穴3:「減額なし」は"バッジが付いた商品"の話
LPの表現を正確に引くとこうなっている。
「減額なしバッジ」が付いた商品ならどんな状態でも満額で買取保証。
全品ではない。「軽微な箱のへこみ」「軽微なシュリンク破れ」でも満額、という強い保証は、あくまでバッジ対象品に限られる。バッジのない商品は通常どおり状態で査定される。ここを読み飛ばすと「減額なしって書いてあったのに減額された」になる。
もう1点。LPには自社と「A社」「B社」を比べる表が置かれ、減額率0%/30%/70%、返却率0%/20%/50%といった数字が並んでいる。A社・B社が実在のどの事業者なのか、この数字がどう測定されたのかは、表のどこにも書かれていない。 出所の書かれていない比較表は、業界を問わず自社に有利な形に寄る。参考にはしても、そのまま鵜呑みにする種類の数字ではない。
シンソクは通販もやっている。こちらは特商法表示と「ご利用案内」に条件が細かく書かれていて、買取側よりはっきり厳しい。
(1)支払いは銀行振込のみ、しかも時間制限つき
クレジットカード決済はない。そして購入合計30万円以上は注文後8時間以内、それ以外は24時間以内に振り込む必要があり、確認できなければキャンセルされる。高額カードを深夜に注文した場合、8時間の壁はかなり現実的な問題になる。
なお特商法の「商品代金以外の必要料金」欄には「代金引換でご購入の際の代引き手数料」が挙げられているが、支払方法として案内されているのは銀行振込のみである。表記が噛み合っていない箇所が残っている。
(2)契約が成立するのは「発送確定メール」の時点
ご注文いただいた商品の売買契約は注文確定メールの受信時点では成立せず、当店からの発送確定メールをもって、正式に契約が成立する
あわせて店頭併売による予告なしの在庫切れと、価格誤りによるキャンセル条項(明らかな価格の誤りは注文確定後でも訂正・契約解除できる)が明記されている。「安すぎる値付けを見つけて即注文」が通らないという意味である。相場から外れた価格を拾っても、発送確定メールが来るまでは確定していない。
(3)未開封BOXは、開封動画がないと返品できない場合がある
未開封BOXにつきましては、シュリンクや外装状態も商品の価値に含まれるため、到着時から確認完了までの動画撮影をお願いいたします。
段ボールの外装確認、開封、商品の取り出し、BOXの状態確認までが1本で映っている動画を求めている。この動画がない場合、返品・交換・返金を受けられない場合があると書かれている。 シュリンク付きBOXを通販で買うなら、荷物を開ける前にスマホを回し始めるのが前提になる。
(4)配送事故の補償はヤマトの上限まで
配送中の破損・紛失は、利用者自身がヤマト運輸に問い合わせ、配送時の事故と認められた場合のみ、ヤマトの補償上限内で対応となる。上限は宅急便30万円、ネコポス3,000円と明記されている。ヤマト側で事故が認められなければ、シンソクとしては補償しないとも書かれている。
ネコポスの送料は290円で安いが、事故ったときの上限は3,000円である。 数万円のシングルをネコポスで受け取るなら、そのリスクは自分が持つことになる。
(5)返品の申し出は到着から5日以内、お客様都合の返品は不可
対応期限は5日。加えて「高額商品は発送直前の商品状態を撮影している」「弊社撮影画像と提供画像が別商品と判断した場合は対応を断る場合がある」という記載もある。店側もすり替え対策として証拠を残しているということで、これは双方向にフェアな運用と言える。
(6)店頭受取は10万円超で本人確認書類が必要
店頭受取(無料)を選んだ場合、10万円を超える受け取りには本人確認書類の提示が必要で、注文情報と氏名・住所が異なれば受け取れない。転売目的の名義借りを潰す運用で、古物商としては当然の対応である。
参考までに、送料はヤマト運輸900円(梱包費込・全国一律)/ネコポス290円、税は内税表示となっている。
サジェストには「シンソク オリパ」「シンソク オンライン オリパ」が出る。ここは事実関係を整理しておく。
シンソクはオンラインオリパを運営していない。 通販サイトの商品カテゴリはポケモンカード・ワンピースカード・遊戯王・ドラゴンボール・ヴァイスシュヴァルツの5タイトルで、それぞれ未開封BOX・パック・鑑定済・シングル・プロモ・サプライ・その他に分かれている。オリパのカテゴリは存在せず、ガチャ形式の商品ページも今回の調査範囲では確認できなかった。
一方で、買取LPにはこう明記されている。
オンラインオリパの当選カードも買取 今人気のオンラインオリパ景品の買取も行っております!!
これは地味に重要な情報である。オリパで当てたカードを現金化しようとしたとき、「オリパ景品はお断り」と言われる、あるいは事実上受け付けてもらえないケースは実際にある。 シンソクはそれをLPのタイトルタグに入れるレベルで前面に出している。オリパを引く側にとっては、出口が1つ増えるという話になる。
なお、店頭でのオリパ販売については、2024年時点の外部記事に秋葉原店でのオリパの記載がある。ただし公式サイト側で店頭オリパの取り扱いを説明しているページは見つからなかったため、現在の販売状況は編集部では確認できていない。店頭オリパ目当てで行くなら、各店の公式Xで事前に確認したほうがいい。(シンソクは店舗ごとにXアカウントを分けて運用している)
シンソクは公式サイトで「シンソク秋葉原統一計画」という出店プロジェクトを公開している。出店予定が月単位で全部書いてある。
| 時期 | 店舗 |
|---|---|
| 2026年5月 | 秋葉原3号店(旗艦店)/秋葉原4号店 |
| 2026年7月 | 秋葉原買取センター(買取専門) |
| 2026年8月 | 秋葉原6号店(販売専門) |
| 2026年9月 | 秋葉原5号店(ビル一棟) |
| 2026年11月 | 秋葉原7号店(過去最大の広さ)/秋葉原8号店 |
| 2026年12月 | 秋葉原9号店 |
1年で秋葉原に9店舗という計画である。 特商法の所在地一覧で5号店だけ番号が飛んでいるのは、5号店が9月オープン予定でまだ開いていないからだ。
打ち出しているコンセプトは「路面1F中心」「VIPルーム完備」「通路なし買取」で、要は"入りづらい・人目が気になる・待たされる"という既存のトレカショップの弱点を、立地と内装で潰しにいっている。 会社サイト側では査定・値付け・在庫・出品といった反復作業をAIに寄せる、という説明も出している。
この出店ペースが、そのまま「最近やたら名前を見る」の答えである。同時に、急拡大している会社は在庫・人員・オペレーションのどこかに歪みが出やすいというのも一般論として事実なので、そこは冷静に見ておきたい。
- 宅配買取は「送った=売った」と考える。 減額がなければキャンセルできない。査定を見てから決めたいなら、先に公式LINEの仮査定で価格を確定させてから送る
- 送るなら10万円以上をまとめて。 10万円未満は送料自己負担、キャンセルすれば返送料も自己負担になる
- 「減額なし」はバッジ対象品の話。 自分が売るカードにバッジが付いているか、カート追加時に確認する
- 通販は銀行振込のみ。30万円以上は8時間以内。 深夜の高額注文は振込タイミングに注意する
- 未開封BOXを買ったら、開ける前から動画を回す。 段ボール外装からBOX確認まで1本で撮る。撮っていないと返品を受けられない場合がある
- 高額シングルをネコポスで受け取らない。 事故時の補償上限は3,000円
- 返品の申し出は到着から5日以内。 届いたその日に検品する
- オリパの当選カードは買い取ってもらえる。 ただし査定は現物の状態基準。オリパ側の「表示価格」で売れるわけではない
古物商許可がこの商売で何を意味するのか、オリパ側の運営会社を同じ手順で調べた記事もある。
- オリパはヤクザがやっているのか? 古物営業法と運営会社を一次情報で調べたら、警察の許可なしでは1日も営業できない商売だった
- オリパの「還元率100%超」はどう作られているのか 公開データを取って計算したら、還元率だけ見ても損益は絶対に分からないと判明した
- ポケカチの相場は信用できる?「怪しい」の声を運営会社から検証したら、価格の出所はカードラッシュ1社だった
ソース
- シンソク公式「特定商取引法表示」(通販)
- シンソク公式「ご利用案内」(送料・支払方法)
- シンソク公式「特定商取引法に基づく表記」(買取・卸)
- シンソク宅配買取 公式LP(FAQ・減額なしバッジ)
- シンソク「秋葉原統一計画」出店スケジュール
- 株式会社KXオンライン 公式サイト(会社概要)
- 福岡県警察「URL届出古物商一覧」(か行)
- 東京都公安委員会「古物商URL届出一覧」
- 警視庁「古物営業法の一部改正について(令和6年4月1日施行)」
※本記事は2026年8月28日時点の公開情報にもとづく検証です。規約・料金・キャンペーン内容・出店予定は変更される場合があるため、利用前に必ず公式の最新表記をご確認ください。