米国の大手暗号資産取引所Coinbase(コインベース)が、9月28日(米国時間。日本時間では29日未明)に公式Xで「スマホでパックを開封できる。1枚1枚に本物のカードが裏付けられている。保管するか、送ってもらうか選べる」と投稿した。投稿にはポケモンカードのパックを模した画像が添えられていて、利用者の「ポケモンのパックをチェーン上で?」という問いに、Coinbaseは「you get it(そのとおり)」と返している。開始時期は「Soon(近日)」とだけ書かれ、発売日もブロックチェーンの名前も出ていない。
この仕組みは、海外でこの1年で急に大きくなった「仮想通貨オリパ」と同じ型だ。実物の鑑定済みカードを倉庫に預け、1枚ごとにデジタルの持ち主証明(NFT)を発行し、それをランダムに引くガチャにして、当たったカードはその場でドル建ての暗号資産に換えられる。代表的な事業者がSolana(ソラナ)上で動くCollector Crypt(コレクタークリプト)で、crypto.newsやDexertoなどの海外メディアはCoinbaseが同じ型を使うと見ているが、Coinbaseは提携先を公表していない。
この記事は、第三者が同じ手順で確かめられる情報と、出典を明示した第三者の集計を分けて書く。オリパ速報自身の読みは「オリパ速報の見方」の節にまとめた。 オリパ速報はCollector Cryptのガチャを回しておらず、本記事に同社サイトへの誘導リンクやアフィリエイトリンクは置いていない。
- Coinbaseが9月28日(米国時間)、実物カードに裏付けられたパック開封機能を「近日」開始すると予告した。ポケモンカードを名指しはしていないが、画像と返信でほぼ認めている
- 同じ型の代表的事業者Collector Cryptは、第三者サイトの公開データで日次の手数料が約1億円。Coinbaseの投稿の翌日から、日次の手数料は約1.5倍になった
- 全ガチャ記録を数えたnote記事の集計では、3日間で76,106回・約24.6億円が回され、当たりの97%がその場で換金され、直近に当たった約330枚のうち約28%が日本語版だった
投稿の要旨は次のとおり(オリパ速報の訳)。
- あなたのバインダーが大幅にアップグレードされる
- スマホでパックを開封できる
- 1枚1枚の当たりに、本物の実物カードが裏付けられている
- 倉庫に保管するか、手元に発送するか選べる
- 近日、Coinbaseで
オリパ速報が10月4日に確認した時点で、この投稿の表示回数は550万回を超えていた。別の利用者が「Pokémonのパックをチェーン上で、ということ?」と聞いたのに対し、Coinbase公式は「you get it」と返信している。
Coinbaseは10月4日時点で、提携先、使うブロックチェーン、開始日、対象の国、当たったカードを利用者同士で売買できるかどうかのいずれも公表していない。
日本のネットオリパと似ているが、違うところが2つある。
| 日本のネットオリパ(多くの業者) | 仮想通貨オリパ(Collector Crypt) | |
|---|---|---|
| 中身 | 業者が仕入れたカード | 倉庫に預けられた鑑定済みカード。1枚ごとにNFTが発行される |
| 支払い | 円(クレカ・コンビニ等) | 暗号資産(USDCなどドル連動のステーブルコイン) |
| 当たりの扱い | 発送、またはサイト内ポイントに交換 | 発送、保管、またはその場で評価額の一定割合をUSDCで受け取る |
| 記録 | 業者の内部 | 1回ごとにチェーン上に残り、誰でも見られる |
| 運営 | 日本の会社 | 海外の会社。日本での許認可の有無は未確認 |
いちばん大きな違いは「当たりをその場でお金に戻せる」ことだ。Collector Cryptの公式ドキュメントには、鑑定済みカード限定で預け入れを受け付け(未開封品は不可)、預け入れは無料、倉庫に入ると自動でNFTが発行される、と書かれている。マーケットの価格表示はUSDC建てで、Magic Eden(外部のNFTマーケット)の出品もまとめて見られる。
ガチャで当たったカードをその場で買い取る割合と期限は、Collector Cryptの公式ドキュメントのうちオリパ速報が読めた範囲(APIの仕様)には書かれていない。後述のnote記事は、同社の画面上の表示として「評価額の85〜93%」「ガチャで出てから72時間以内」と報告している。暗号資産メディアのCoinPostも2025年9月の記事で「引いたカードを80〜85%の価格で即時に買い戻す」仕組みがあると書いている。
Collector Cryptは、すべてのガチャの記録を公開している。これを3日分(10月1日〜3日)すべて数えたnote記事が10月4日に出た。筆者は「旧裏マークなし」というアカウントで、ヴィンテージのポケモンカードを扱う発信者だ。オリパ速報はこの集計を再現しておらず、同じ数字を出せてはいない。以下は同記事の報告として引用する。
| 項目 | note記事の集計(10月1日〜3日) |
|---|---|
| 有料ガチャの回数 | 76,106回(1日約2.5万回) |
| 回された金額 | 約1,560万ドル(約24.6億円。1日約8.2億円) |
| 回数でいちばん多い価格帯 | 50ドル(約7,900円)のパックで33%。100ドルまでで75% |
| 金額の4割を占める価格帯 | 2,500ドルと5,000ドル(約40万〜79万円)のパック。回数では2.4% |
| 1日に回したウォレット数 | 約950。うち高額パックを回すのは1日20〜30 |
| その場で換金された割合 | 97% |
| 実際に手元に戻る割合 | 約91%(評価額ベースの期待値は103〜111%) |
| 外から新しく入った金額 | 3日で約4.2億円(1日約1.4億円)。同じお金が約6周 |
| 直近に当たった約330枚のうち日本語版 | 約28%(評価額ベースで約24%) |
同記事はさらに、Collector Cryptが付ける「評価額」を日本のスニーカーダンクの成約価格と並べ、日本の相場より1〜3割高いものが多かったと報告している。例として挙がったジラーチのXYプロモ(PSA10)は、評価額が約73万円に対し、スニダンの直近成約は約38万円で、7月の高値のまま評価が更新されていない可能性があるという。
note記事は、「期待値100%超え」に見える数字は相場より高めの評価額で計算したもので、当たりの97%がその場で換金される以上、実際に戻るのは約91%、残りの約9%が運営の取り分になる、と読んでいる。
第三者のデータサイトDefiLlama(デファイラマ)は、Collector Cryptの日次の手数料を集計して公開している。オリパ速報が10月4日にAPIから取得した値を並べる(1ドル158円換算。日付はUTC基準)。
| 日付 | 日次手数料(ドル) | 円換算 |
|---|---|---|
| 9月23日 | 434,481 | 約6,865万円 |
| 9月24日 | 406,900 | 約6,429万円 |
| 9月25日 | 548,570 | 約8,667万円 |
| 9月26日 | 432,350 | 約6,831万円 |
| 9月27日 | 377,555 | 約5,965万円 |
| 9月28日(Coinbase投稿の日) | 463,824 | 約7,328万円 |
| 9月29日 | 756,083 | 約1億1,946万円 |
| 9月30日 | 706,514 | 約1億1,163万円 |
| 10月1日 | 740,601 | 約1億1,701万円 |
| 10月2日 | 592,896 | 約9,368万円 |
| 10月3日 | 624,868 | 約9,873万円 |
投稿前の6日間(9月23日〜28日)の平均は1日約44万ドル(約7,000万円)、投稿後の5日間(9月29日〜10月3日)は約68万ドル(約1億800万円)で、約1.5倍になっている。直近30日の合計は約1,349万ドル(約21.3億円)だった。
note記事の「運営の取り分は1日の売上の約1割」を当てはめると1日約8,200万円で、同じ3日間(10月1日〜3日)のDefiLlamaの平均は約1億300万円。約2割の差はあるが同じ桁で、矛盾はしない。ただし、DefiLlamaの「手数料」にガチャの取り分だけが入っているのか、マーケットの手数料も含むのかは、オリパ速報は確認できていない。
note記事は、Coinbaseの予告後に増えたのは「回数」ではなく「金額」で、増えた分はほぼ高額パックだったとも書いている。新しい人が押し寄せたのではなく、もともといた大口が高いパックを多めに回した、という見方だ。
ここからはオリパ速報の読みで、note記事には書かれていない。
当たりの97%がその場で換金され、同じお金が約6周している。チェーン上の記録は「誰が、いくら回したか」を1回ごとに残すが、そのお金が新しい需要なのか、換金で戻ったお金の回し直しなのかは区別しない。ウォレットの数も人数とは一致しない。1人が複数のウォレットを持つのは普通のことだ。「売上の4割が1日20〜30ウォレット」という構成は、少数の大口の実像をそのまま映しているとは限らない。
このため、1日約8.2億円という数字は単独で見ず、同じ集計にある「外から新しく入った1日約1.4億円」と並べて見るのが安全だと考える。
note記事によれば、直近に当たったポケモンカード約330枚のうち日本語版は約28%。ルギアexのプロモ(CGC10、評価額約87万円)、旧裏第1弾のリザードン(CGC8)、フシギバナ(CGC10)などが出ている。評価額が日本の相場より1〜3割高いのは、Collector Cryptの中で「ガチャの当たりとして買い取るときの値段」であって、外から持ち込んだカードを高く売れる場所ではない、というのが同記事の結論だ。
この集計が正しければ、海外のガチャの中身として日本語版の鑑定品が買われ続けていることになる。Coinbaseの機能がどのカードを扱うかは公表されていない。
日本のネットオリパの多くは、当たりをサイト内のポイントには戻せても、現金には戻せない作りにしている。Collector Cryptは、運営自身がその場でドル建ての暗号資産に換える。この「お金を払って、運で、お金が戻ってくる」形をどう見るかは、オリパ速報の過去記事「還元率110%」は賭博罪になるのか(弁護士の見解)で扱った賭博罪・景表法・古物営業法の論点と同じで、Collector CryptやCoinbaseの新機能について、10月4日時点で行政や裁判所の判断は出ていない。
また、2025年6月に成立し、同年9月25日に施行された改正ギャンブル等依存症対策基本法は、違法なオンラインカジノを紹介したり、ブログ・SNS・ランキングサイトなどで誘導したりする行為を禁止している。海外の仕組みがここに当たるかどうかも、同じく判断は出ていない。
オリパ速報がこの記事に同社サイトへのリンクを置かず、利用を勧めない理由はこれだ。 海外の利用者が合法に遊べる仕組みであっても、日本に住む人が日本から使うことについて、安全だと言える材料は今のところない。
| 論点 | 確認結果 | 読者が確かめる方法 |
|---|---|---|
| Coinbaseの投稿の存在と内容 | 確認できた。9月28日(米国時間)、公式アカウント(@coinbase)から投稿。「you get it」の返信も確認 | 公式X(@coinbase) |
| Coinbaseの提携先がCollector Cryptか | 確認できなかった。Coinbaseは公表していない。海外メディアの見方にとどまる | Coinbaseの公式Xと公式ブログの続報 |
| Collector Cryptの預け入れ条件(鑑定済み限定・無料・NFT自動発行) | 確認できた。公式ドキュメント | docs.collectorcrypt.com |
| ガチャの即時買い取りの割合(85〜93%)と期限(72時間) | 確認できなかった。公式ドキュメントの読めた範囲に記載なし。note記事とCoinPostの報告として引用 | 同上 |
| 日次手数料が約1億円 | 確認できた。DefiLlamaの日次データ。note記事の推計と同じ桁 | DefiLlamaの「Collector Crypt」のページ |
| 3日間76,106回・約24.6億円などの集計 | 同じ数字を出せていない。note記事の報告として引用 | Collector Cryptの公開記録 |
| 評価額が日本の相場より1〜3割高い | 同じ数字を出せていない。note記事の報告として引用 | スニダン・eBayの成約と並べる |
| 日本の法律上の扱い | 行政・司法の判断は出ていない | 消費者庁・警察庁の公表 |
ソース
- Coinbase 公式Xポスト「Your binder is about to get a major upgrade.」(2026年9月28日・米国時間)
- 米コインベース、ポケモンカード市場参入へ(NADA NEWS / Yahoo!ニュース経由・2026年9月)
- Coinbase is bringing physical Pokémon card packs to its app(crypto.news・2026年9月)
- Coinbase jumps into Pokemon TCG craze with digital packs backed by real cards(Dexerto・2026年9月)
- 仮想通貨オリパを7.6万回ぶん全部数えてみた。運営の取り分、当たりの中身、評価額のからくり(note・旧裏マークなし・2026年10月4日)
- Collector Crypt 公式ドキュメント Vault: Deposit(預け入れ条件)
- Collector Crypt 公式ドキュメント Marketplace API(USDC建て・Magic Eden連携)
- DefiLlama Collector Crypt 手数料(2026年10月4日取得)
- トークン化ポケモンカード市場「Collector Crypt」、仮想通貨CARDSが数日で10倍高騰(CoinPost・2025年9月6日)
- 利用者337万人・賭け金1.2兆円 オンラインカジノ急増で動いた2025年法改正とは(ジャパンマック・2026年1月13日)
- 【炎上】オリパの「還元率110%」とかいう謳い文句、弁護士「普通に賭博罪アウトの可能性あるぞ」(オリパ速報)
※ドル表記の円換算は、すべて1ドル=158円で計算している。