オンラインガチャ「Gacha24」「ガチャイチ」を展開していた株式会社Iranoanについて、コラボ相手が「グッズの制作費が振り込まれないまま連絡が取れない」と投稿している。
同社は2023年12月にシードで累計4.2億円の資金調達を発表し、2024年9月にはオリパの「安心・安全」と特許取得を語る対談記事も出していた会社だ。
この記事で扱うのは、URLで再確認できる情報だけだ。 具体的には①同社と取引先の公式発表、②本人が自分の状況を書いたXの投稿、③Yahoo!知恵袋に実際に立っている質問。「代表が飛んだ」「倒産した」系の転載ポストや、出典URLの取れないスクショは採用していない。投稿の紹介は投稿日時の古い順に並べ、オリパ速報が要約したうえで元投稿へリンクしている(リンク先では投稿者のアカウント名が表示される)。
9月22日以降、会社側の説明は確認できていない
2026年10月18日に、同社の公式発表を改めて探した。未発送や制作費の未払いについて、同社が説明や謝罪、進捗を公表した形跡は、確認できる範囲では見つからなかった。PR TIMESの同社ページや検索でも、今回の件に触れた新しい発表は確認できていない。報道機関による続報も見当たらない。
| 項目 | 10月18日時点で確認できたこと |
|---|---|
| 会社の公式説明 | 確認できず |
| 発送・支払いの進捗 | 公表されたものは確認できず |
| 倒産・破産の公的記録 | 確認できず(「倒産していない」とも確認できていない) |
つまり9月22日の記事から、確認できた事実は増えていない。状況が改善したとも、悪化したと言い切れる材料もない。未発送の商品や未払いが解消したという報告も、オリパ速報では確認できていない。
特許についても、10月に入り権利の状況を列挙する投稿が出ているが、特許庁の記録との照合ができていないため、引き続き有効・無効の判断は保留する。
この記事で確認できたことと、できなかったこと
| 論点 | 現時点で言えること |
|---|---|
| 未払いの申告 | コラボ相手が「制作費の振り込みがなく音信不通」と投稿している(本人の申告) |
| 連絡が取れなくなった時期 | 投稿では「3月23日までは連絡が取れていた」とされる |
| 未発送 | 「獲得した商品が届いていない」という質問が知恵袋に立っている(利用者の申告) |
| 倒産 | 破産手続開始などの公的記録は確認できていない。「倒産していない」とも確認できていない |
| 特許 | 過去に取得の発表がある。現在の有効性・係属状況は本記事では判断を保留する |
いずれも「申告があること」までが確認できた事実で、金銭の授受や契約内容そのものをオリパ速報が検証したわけではない。
4.2億円を調達し、業界の健全化を語っていた会社
Iranoanは、24時間引けるオンラインガチャ「Gacha24」、トレーディングカード販売店「minny」などを展開していた。2023年12月21日のリリースでは、代表取締役を鈴木直氏と記載し、株式の発行による出資と融資を合わせて累計4.2億円を調達したと発表している。
出典:株式会社Iranoanの資金調達リリース(PR TIMES)
「ガチャイチ」は、認定を受けた法人・個人が自分のオリジナルガチャを販売できる仕組みとして紹介されていた。つまり購入者だけでなく、商品を出品する側の事業者も関わるサービスだった。ここが後で効いてくる。
2024年9月24日には、株式会社TUUUBEのオウンドメディアで同社代表との対談記事が公開されている。オンラインオリパの不透明さ、当選確率の操作への懸念、業界団体の設立構想、そして特許取得による監視の話が並ぶ。TUUUBE側も「2社間で不正をチェックできる仕組み」を採用理由に挙げていた。
出典:TUUUBEとIranoan代表の対談記事(Wantedly) / オリパレット提供開始のお知らせ(TUUUBE)
翌25日のTUUUBEの発表では、同社のオンラインくじサービス「オリパレット」に特許第7472179号のシステムを採用したと記載されている。オリパレットの運営はTUUUBEで、Iranoanとは別法人だ。今回の申告がオリパレットでも起きたと読めるものは何もない。
「イベントは問題なく終わったが、制作費が振り込まれない」
2026年5月8日、ガチャイチタウンとIranoanの案件に参加したVTuberが、自身のXでこう説明している。現地イベント自体は問題なく行われた。ところが、VTuber側とサポート会社へのグッズ制作費の振り込みがないまま、連絡が取れなくなった、という内容だ。
グッズの制作は完了していたものの、発送の時期にガチャサイトが閉じられたとも書かれている。購入者に商品を届けるため、対象者にGoogleフォームへの入力を呼びかけていた。フォームの受付がその後どうなったか、何件の発送が完了したかは確認できていない。
同日23時06分の投稿では、3月23日までは連絡が取れていたとされている。その後、会社の電話も問い合わせメールも通じなくなったという説明だ。
読むときに注意したいのは、これが取引相手の立場から見た経緯だという点だ。購入者が支払った商品代金と、出品者の売上金、コラボ相手の制作費は、それぞれ契約関係が違う。ひとまとめに「未払い」と数えると話がぼやける。
「倒産したのか」という質問は立っているが、公的記録は確認できない
2026年5月24日、Yahoo!知恵袋に「Iranoanは倒産したのか」という趣旨の質問が投稿されている。質問者はサイトにアクセスすると404が出たこと、獲得した商品が届いていないことを書いている。
出典:Yahoo!知恵袋の質問
これは利用者の申告であって、倒産を裏づける公的な発表ではない。今回の調査では、Iranoanの破産手続開始を示す公的資料を確認できていない。同時に、「倒産していない」と確認できたわけでもない。法人の状態は未確認、というのが正確なところだ。
同様に、連絡が取れないという申告から、関係者の失踪や意図的な逃亡まで断定できる根拠はない。SNSでは代表者個人のアカウントや従業員数に関する転載も流れているが、いずれも一次記録との照合ができていないため、本記事では扱わない。
特許があることと、商品が届くことは別の話
特許の審査で判断されるのは、発明の新規性や進歩性といった点だ。審査を通ったことで、その会社の資金繰りや発送・精算までが保証されるわけではない。
「特許取得」「不正をチェックする仕組み」といった説明は、システムの設計についての話であって、運営会社が支払いを続けられるかどうかとは別の軸になる。オリパを選ぶときに見るべき順番としては、むしろ特商法表記の事業者名・所在地・連絡先と、発送や返金の条件のほうが先だ。
なお、Iranoanが保有するとされる個別の特許について、取消決定や無効審判、譲渡手続に言及する投稿も出ている。本記事では各番号の審判・訴訟・登録の最新記録を照合できていないため、有効・無効の判断は保留する。
相談する前に、手元に残しておきたい記録
ガチャイチのように出品者がいるサービスでは、運営会社と、商品の販売者を分けて記録しておくと経緯を伝えやすい。
- 注文番号、決済日、支払額、決済方法
- 獲得した商品名、発送依頼日、画面に表示されていた発送予定
- 購入時の規約、販売者情報、問い合わせへの返信
- 問い合わせを送った日時と内容、エラー画面のスクリーンショット
商品が届かないなどのインターネット取引のトラブルについて、消費者庁は消費者ホットライン188を案内している。相談するときは、保存した記録とこれまでの問い合わせ経緯を用意しておきたい。
出品者の売上金やコラボの制作費は、購入者の商品代金とは別の契約だ。制作費なら契約書・請求書・支払期日、売上金なら精算明細を残しておくと、未入金の内容を整理しやすくなる。
「安心・安全」は発表ではなく、支払いと発送の実績で見るしかない
4.2億円を調達し、特許を取り、業界団体の構想まで語っていた会社で、コラボ相手が「制作費が振り込まれない」と投稿する状況になっている。発表の立派さと、取引先に金が届いているかどうかは、まったく別に確認するしかない。
本記事の本文は2026年9月22日時点の記録で、10月18日に追記を加えた。会社側の発表や、投稿者による訂正・解決の報告が出た場合は、確認でき次第この記事を更新する。